北国新聞に掲載された内容です。

北国新聞に掲載された内容です。

この仕事を初めて五十年近くになるけど、心から満足できる作品はなかなかできませんね。こうしていればもっと上手く出来たと思うところが必ず出てくるものなのです。職人というのは皆そうなのかもしれません。が、それでも仕事の苦労が一番の楽しみなのです。

彫るときに大事なのは作品の全体像を完璧につかむことです。
弟子時代は、獅子頭を彫るにしても、眼なら眼だけ真剣に掘ってしまって失敗ばかりでした。今はもう四角い桐の木を見るだけで作品のイメージが浮かんでくるのです。後はいらない部分を削っていくだけです。

自分が彫った作品を渡した時のお客様のうれしそうな顔を見るときがうれしい。
だから注文があればまだまだ何でも挑戦するつもりです。いつまでも現役でありつづけたいのです。